大谷翔平式筋トレvs.イチロー式筋トレ

ここのところ、ダッシュHIITと併せて腕立てなどもこの公園で行っている。自重筋トレHIITはずっと室内でやってきたのだが、ダッシュHIITを取り入れてからついでに野外でもやるようになった。

こうしたぶら下がりなどもできるので、この公園は何かと便利だ。
さて、今日は大谷翔平選手のトレーニング法とイチロー氏のトレーニング法について話そう。
前記事で大谷翔平選手の筋トレについて書いた。スポーツ科学に基づいた最新のもので、ウエイトもたくさん使う。こうしたトレーニング法は大谷選手に限らずメジャーリーグでは一般的だし、アメリカのスポーツ界では普通だと思う。日本でもほぼそうなってきていると思う。
ところが、イチロー氏はそうした傾向に警告している。ウエイトトレーニングは自然な動きでなく、ライオンやトラはそのような動きをしないと。イチロー氏もメジャーに移籍した頃はウエイトトレーニングに励んだという。僕自身の記憶でも、日本時代と比べて一気に腕っぷしが太くなり胸板も厚くなっていたので、その成果は現れていたのだろう。ただ、彼が感じたのは、スピードは逆に落ちたということ。打撃のパワーはアップしたがスイングのスピードは落ちたと。WBCを観ていた人なら、佐々木朗希投手の球に振り遅れていたバッターが多くいたのを覚えているだろう。それだけスイング・スピードは重要だということ。イチロー氏曰く、筋肉ばかり大きくしても意味がないと。筋肉は関節や腱などとセットで、自分の体格に合っていない筋肉をつけると関節や腱に負担がかかり、全体の動きにはかえって障害になることもあると。
イチロー氏の言っていることは自然派バイオハッキング的だ。
僕自身も、若い時はアメリカ式の筋トレをしていた。日本の部活では腕立て伏せなどの自重トレーニングが一般的だった時代に育った僕にとって、アメリカでのユニバーサルトレーニングマシンが整ったジムでのトレーニングは画期的で、これでは日米の差がこれだけあるのも当然だと思った。一番はまったのが20代後半から30代前半にかけてだったが、当時アーノルド・シュワルツェネッガーやシルベスター・スタローンなどの演じるマッチョー型のヒーローがハリウッドでの主流になり、筋トレが大ブームとなった。特にアメリカでは。日本も追うようにして筋トレが流行り、アメリカ型のフィットネスジムが次々にできた。エクザス、ノーチラス、ティップネスなどのチェーン展開するジムがあちこちにできた。僕は時期を変えてだが、それらすべてに通った。だが、いろいろ調べていくうちに、最新だと思っていたユニバーサルトレーニングマシンは最適でなく、フリーウエイツのほうが筋肉を大きくするにはより向いていることがわかった。そこでフリーウエイツが充実していた中野ヘルスクラブへ通った。当時阿佐ヶ谷に住んでいて近かったというのもあるのだが。ここは日本のボディビル・チャンピオンだった小沼敏雄さんもトレーナーを務めるボディビル専門のジムだった。
ボディビル自体はやらなかったが。単に筋肉質な体になればいいだけで、大会に出たりする気は全くなかった。それでも、お陰様で筋肉はそこそこつき、自分が求めていた肉体は手にした感じだった。
その頃よく言われたのが、「体が硬い」ということ。特にヨガをやっている人や東洋的な身体療法をやっている人たちから。当時はまだそのことがあまりピンと来ていなかったが、今になってようやくその人たちの言っている意味がわかった。そう、筋肉は強いだけでなく柔らかくすることが重要だと。そして、そのためには自分の体重よりも重いものを持ち上げたりしないほうがいいと。従って今では自重トレーニングを行っている。腕立て伏せ、腹筋、スクワット、マウンテンクライマーなど。

これがマウンテンクライマー。この体勢で足を左右前後に動かしていく。
また、ストレッチングもたくさんやり、首、肩、肘、手首、足首、膝、腰などの関節回しもやる。特に老化防止のためにはウエイトトレーニングを必要とするまでの筋肉はいらない。アスリートのトレーニング法に関して僕は専門ではないので、大谷式がいいのか、イチロー式がいいのかはわからない。ただ、老化防止に関してはイチロー式に軍配が上がるだろう。もっとも、イチロー氏のやっている初動負荷トレーニングに関しては、これまた詳しくないので、何とも言えない。自然の動きに合わせた筋トレという考え方は面白いと思う。
ここでも、目的が重要。何のために筋トレを行うのか。大谷選手の場合、打撃力や投球力、走力を高めるのが目的だったが、僕ら中高年の一般人の場合は、120歳まで元気に動き続けるようになるために、どのような動きが必要になるかを想定すればいい。ピーター・アティア医師は孫を持ち上げるという状況を一例に挙げていたが、他に考えられるのは、まず歩くこと。寝たきりにならず、歩き続けるということ。歩行といっても平地を歩くだけでなく、坂を上ったり下ったり、階段を上ったり下ったりが入ってくる。なので、まずは歩くこと。日常的にたくさん歩くことが重要。できれば坂や階段も含めて。そして歩くのに必要な筋肉を鍛える上でスクワット、マウンテンクライマーなどが役立つし、走ることもいい。ジョギングやダッシュ走。
物を持ったり、運んだりすることもあるので、上半身も鍛える必要がある。腕立ては基本中の基本だし、指立伏せもいい。なんかのはずみで指をついたりした時に怪我をしにくくなる。
怪我予防といえば、やはり体の柔らかさで、関節回しやストレッチングは必須になる。あとは転倒防止のためのバランス・トレーニングや体幹トレーニング。
そして、それらは病気予防のための運動との兼ね合いから総合的に週の運動スケジュールに組み込む必要がある。僕の一週間の運動スケジュールについては本に書いた。
『自然派バイオハッキング:日本の里山で発酵させたシリコンバレー発の長寿健康法』
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