アメリカの医者が勧める16時間断食の正しいやり方

『空腹こそ最強のクスリ』などで1日16時間断食が流行っているが、アメリカは日本より1,2年先を行っていて、16時間断食自体はすでに廃り始めている。

健康系人気ユーチューバーの多くが16時間断食をやめている。

例えば、ヘルスコーチのThomas DeLauerは多くの人が間欠的ファスティングをやめている理由のひとつが16時間断食にあると言っている。https://www.youtube.com/watch?v=ikd5aXpciUg

High Intensity HealthというYouTube channelのホストであるMike Mutzelも最近間欠的ファスティングをやめたと言っている。 https://www.youtube.com/watch?v=0cyyGDdYy6o

16時間断食を毎日やり続けて1,2年経つと、大変になってやめてしまうことがひとつ。永遠に続けなければならないというプレッシャー。

間欠的断食をすることで筋肉が落ちてしまい筋トレをよくしている人にとってはかえってよくなかったりすることがもうひとつ。

筋トレによってオートファジーを活性化させることができるので、そこまでファスティングにこだわる必要はないと。

季節によっても変わり、夏場はサーカディアンリズム的に考えて1日3食食べてもいいのではというのがもうひとつ。つまり、秋の後半から冬、春の前半までは1日2食にするが夏場は3食にすると。

サーカディアンリズムでいえば、朝食を抜くという16時間断食の主流のスタイルが必ずしもいいわけではないこと。朝よりも夜抜いたほうがいい。

あとは、全体的に飽きが来ている。つまり流行が終わってしまったと。去年ぐらいまではみなが間欠的ファスティングと言って騒いでいた。上記したユーチューバーたちもそうだった。今は逆に間欠的ファスティングは効果がないというテーマが流行り始めていて、ユーチューバーの多くがこぞって路線変更している。

17時間断食や18時間断食が主流

そもそも、間欠的断食支持者でも16時間は主流ではなくなり、17時間断食や18時間断食が人気を得ている。16時間の空腹時間ではオートファジーを活性化させるのに十分な時間ではないという考えからだ。

OMAD(1日1食)も流行っている

オートファジーを活性化させるのに必要な時間に関しては様々な説があり、16時間という人もいれば17時間という人もいれば24時間という人もいる。最近流行っているのが1日1食のOMAD(One Meal a Dayの略)オーマッド・ダイエットだ。。あの『ライフスパン』のデビッド・シンクレア博士もOMADの実践者だ。

OMAD(1日1食)の問題

もっともOMADの場合、16時間断食よりもさらに問題が起きてくる。まず、続けることの困難さでいえば、もっときびしい。筋肉が減ることもそうだ。タンパク質不足だけでなく、様々な栄養素が欠乏する可能性があり、その1食に何を食べるかがより重要になってくる。つまり、『空腹こそ最強のクスリ』で言われているようになんでも食べて構わないということにはならない。食べられる時間も1時間から2時間なので、かなり限られる。

オーマッドをやっている人の多くは朝食と昼食を抜き、夕食だけ取るという人が多い。この場合、日中の活発な時間帯に空腹状態でいることになりサーカディアンリズム的には自然ではない。やるならば昼食だけ取るというパターンがいい。

あと、毎日22時間ぐらいの断食をするとなるとやりすぎにもなる。オートファジーは常に活性化させればいいわけではなく、mTORとのバランスが大切になる。mTORとはオートファジーと反対の状態で成長を促すもの。長寿という観点ではできるだけオートファジーを活性化させ、mTORは抑えたほうがいい。ただ、若い人やアスリートの場合そうでもない。適度にmTORを活性化させる必要があり、そのためには時々オートファジーをオフにしなければならない。長寿を目指す中高年であっても100%オートファジーをオンにするのではなく、7割から8割オートファジーがオン状態、2割から3割mTORがオン状態がいい。

ドクター・ミンディの方法

間欠的ファスティングについて一番僕が参考にしている情報はミンディ・ペルツ医師のもの。彼女は断食に特化したYouTubeチャンネルを運営していて、断食については一番詳しい。彼女によると、どの時間の長さからオートファジーの活性化が始まるかというより、それぞれの時間がオートファジー、つまり細胞の修復が行われる範囲を広げていくと捉えている。16時間、17時間、24時間、36時間、48時間、および72時間。

16時間の利点

脂肪燃焼が始まる

ヒト成長ホルモン

炎症の軽減

ケトンの増加

エネルギーと集中力の向上

17時間の断食の利点

細胞解毒

細胞修復

改善された免疫機能

がん予防

彼女は、オートファジーは17時間後に活性化されると言う。

24時間断食の利点

腸幹細胞を再起動

トリメチルアミンnオキシドを還元

そして寿命と生存率を高める。

つまり、長寿を目指す人にとっては時々24時間断食をするといい。彼女が勧めるのは通常は17時間断食をし、週に1,2回24時間断食をすること。

https://www.youtube.com/c/DrMindyPelz

スタンフォード大学のアンドリュー・ヒューバーマン教授のポッドキャスト

スタンフォード大学の神経科学者アンドリュー・ヒューバーマン教授のポッドキャストも、僕が最近よく参考にしている情報源だ。https://www.youtube.com/c/AndrewHubermanLab

1エピソードがとても長くかなり専門的な内容を扱うので難しいが、ひとつのテーマを深く掘り下げていくのでかなり参考になる。

間欠的ファスティングについて彼のまとめは

1、起床後最低でも1時間は何も食べないほうがいい。
2、就寝前の2時間~3時間は何も食べないほうがいい。
3、16時間断食のほうが実践可能性という点で24時間断食よりいい。
4、ただし、16時間断食をしたいのなら、17時間断食か18時間断食をしたほうがいい。なぜなら多くの人が結果的に断食時間が1,2時間短縮してしまう傾向にあるからだ。
5、ただし、最低でも6時間ぐらいのeating window(食事ができる時間)を確保したほうがいい。16時間断食ではeating windowが8時間、17時間断食では7時間、18時間断食では6時間なので、18時間断食までが妥当。それ以上eating windowが短くなると、その短い時間内に食べ過ぎる傾向になるからだ。
6、逆にOMADだと少食になり過ぎる。
7、8時間から7時間のeating windowはホルモンにいい。
8、筋肉を大きくしたい人は、午前10時より前にタンパク質を取ったほうがいい。

自然派バイオハッキングで勧めるハレとケ間欠的ファスティングとは

多くの最新情報を総合的に審査した結果、僕が提唱するのはハレとケ間欠的ファスティングだ。日本には昔からハレとケの概念があり、普段はケとし質素な食事をしていたが、祭りやお祝い事のハレの日にはご馳走を食べていた。これをヒントに、ケの時に断食を行い、ハレの時は1日3食取るというメソッド。平日をケとし、17時間断食を行い、週末をハレとし、3食取る。毎週末に休みが入ることで、「永遠に続けなければならない」というプレシャーがなくなる。ゆえに長続きする。

また、オートファジーとmTORのバランスも取れる。ケがオートファジー活性化の期間で、ハレがmTOR活性化の期間。

そして、ここに1日だけ24時間断食を持ってくる。つまり、週4日17時間断食をし、週1日24時間断食をし、週2日休む。そして24時間断食の時は昼食のみを取る。

つまり、

月:17時間断食(朝食抜き)
火:17時間断食(朝食抜き)
水:24時間断食(朝食、夕食抜き)
木:17時間断食(朝食抜き)
金:17時間断食(朝食抜き)
土:3食取る
日:3食取る

可能ならば毎回夕食抜きにしてもいい。サーカディアンリズムではそれが理想だが、現実的には夕食は家族の団らんの時でもあり、夕食を抜くと別の問題が生じる。生きがいという観点からは団らんは残したほうがいい。そして1日2食の場合、朝食を抜いても昼食は取るのでOMADほどサーカディアンリズムへので影響は少ない。ただ、週に1回ぐらいなら団らんをスキップして昼食のみを取ることをやってもいいと思うので、週1なら24時間断食も実践しやすい。

そして、3か月に1度36時間断食を行い、年に1度48時間断食か72時間断食をするといい。

「痛み」と「休憩」を交互に持ってくることが鍵。断食や運動からもたらされる「痛み」は「休憩」とのセットで、休憩があることでかえって効果が上がると。

断食中に摂取していいもの 

水、緑茶、ブラックコーヒーなどカロリーの入っていない飲み物。コーヒーに砂糖やハチミツを入れたら糖質を取ることになるので、コーヒーを飲む場合はブラックで。緑茶もコーヒーもオートファジーを活性化させるというのでいい。オーガニックのものを選ぶ。僕は通常、起きてから1時間半後ぐらいにオーガニックブラックコーヒーを1杯飲み、その後昼食までの間にオーガニックの粉末状の抹茶を1杯飲む。起床後90分はコーヒーを飲まないほうがいいとアンドリュー・ヒューバーマン教授も言っている。

バイオハッキングの生みの親であるデイヴ・アスプリーはコーヒーにバターやMCTオイルを入れるといいと言っているので、どうしてもブラックコーヒーだけではきびしいという人はそうしてもいい。ただ、たいした違いはないので、できる人は何も入れないほうが、純粋な空腹状態を維持しやすいと思う。

間欠的ファスティングはアメリカではもうブームを終えたんじゃ?

それでもまだ有効だと僕は思っている。というか、Thomas DeLauerもMike Mutzelも完全にやめたわけではない。以前のように間欠的ファスティングだけを特別視することをやめただけで、今でも続けていることは続けている。そして彼らはどちらかというとやりすぎる部類だった。ハレとケ間欠的ファスティングのように最初からゆるい方法の場合、同じように見直す必要はない。さらに、これ自体がネタづくりなので、いちいちブームに振り回される必要はない。自分にとって効果があれば続け、効果がない場合は検証しやり方を改善すればいい。

例えばMike Mutzelの場合、断食よりも運動に力を入れるべきだと言っている。それでもオートファジーは活性化できると。確かにその通りなのだが断食には胃腸を休めるという別の利点があり、これはこれでやったほうがいい。僕は運動もしている。しかも断食中に。

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